ボウイ『Fantastic Voyage』訳詞:この世に完璧な人間はいない、だからといってそれが隣国の領海内にミサイルをぶっ放す理由にはならない
(我々人類が「地球」という船に乗っかって繰り広げてきた「人類の歴史」という)この奇っ怪な長旅がいずれ衰退に転じることになったとしても私達は決して老いることはない覚えておけこれが真実だ尊厳は大事だが我々の命もまた大事なのだ私達は今この世界のどこかで誰かが抑圧に喘いでいるのを尻目に生きることを学びつつあるもちろん私は誰かが抑圧に喘いでいるのを見ながら生きたいとは思わない私達は将来この難題に何とか決着をつけるだろうと私は思うこの目まぐるしく変化する現代社会では完璧な人間など存在しないだからと言ってそれがミサイルをぶっ放す理由にはならない自分自身が父親のいないカス野郎(==社会のクズのような底辺生活者)だと考えてみろこれは将来もずっと忘れてはならないなぜなら私達はもう二度と何か立派で偉そうなことを言おうなどとは思わないからだそうだろ?この犯罪的な世界では間違った言葉が我々の耳に入りがちだ覚えておけこれが真実だ忠誠心は大事だが我々の命もまた大事なのだ私達は今もこの世界のどこかで誰かが抑圧に喘いでいるのを尻目に生きることを学びつつあるもちろん私は誰かが抑圧に喘いでいるのを見ながら生きたいとは思わない私達は将来この難題を何とか切り抜けるだろうと私は思うしかし何らかの急な動きが発生した場合私はそれを書き留めておかねばならない特定の人種全体が皆殺しにされるようなことがあった場合私はそれを書き留めておかねばならない私は未だに勉強中の身だがそのことだけは書き留めておかねばならないそしてこれは将来もずっと忘れられてはならないなぜなら私はもう二度と何か立派で偉そうなことを言おうなどとは思わないからだ言えるわけがないだろう?
上記のビデオはスティービー・リクス(Stevie Riks)という名のイギリスのコメディアンによるモノマネだが、決してオフザケではなく、北朝鮮関連の映像をバックに最後までシリアスに歌唱しており好感が持てる。
北朝鮮では同国の最高指導者(現在は金正恩)のことを最高尊厳(supreme dignity)と呼んでいるらしく、国民には最高尊厳への絶対的な忠誠心(absolute loyalty)が求められるらしい。
「尊厳や忠誠心も大事だが、自分自身の命もまた大事だよ」という今から38年前(1979年)にボウイが書き留めたメッセージは、例えば現在も独裁政治の抑圧に喘いでいる北朝鮮の人民や、世界各地で自爆テロを行っている急進的なイスラム教徒に向けたものだと解釈すると納得がいく。
ボウイは、今から38年前に、主として独裁者や国家により過酷な抑圧を受けている人々がこの世界に多数存在しているという問題を「いつか我々は何とかして切り抜けるだろう、と僕は思う(we'll get by, I suppose)」と楽観視していたが、今もまだその「いつか」は来ていない。