私はその類(たぐい)ではない

「数」とは何か、そしてそれはどうあるべきか

ボウイ訳詞(創作訳)『Rock 'N' Roll Suicide』:あぁ、もぅ、お前って奴ぁホントに クールでイカシた ロケンローな自殺者だ

時間は一本の煙草を取り上げ
それをお前に咥えさせる
お前は自分の指を
一本また一本と引っ張っては
煙草を一口吸う

床一面に敷き詰められたカーペットに
煙草の火が燃え移って
それがチリチリ鳴ってる
火種はなかなか消えず
いつまでも燻っているが
じきにお前は忘れる

あぁ、もぅ、お前って奴ぁホントに
クールでイカシた
ロケンローな自殺者だ


お前はそれを失うには歳を食いすぎ
それを選ぶにはまだ若すぎる
時計は
お前のクソ歌が終わるのを
吐き気をこらえながら
辛抱強く待っている

カフェのそばを通りかかっても
お前はもう何も食わない
寿命より長生きし過ぎた時点で
人はもう食えなくなるって言うが
今のお前が正にその通りだ

あぁ、もぅ、お前って奴ぁホントに
クールで超ゴキゲンな
ロッケンロォーな自殺者だ

お前が通りに出くわすと
シボレーのブレーキ音がキーッと鳴る

だが夜が明けるとお前は
どこかへ出かけるどころか
家路へと急ぐのだ

太陽に自分の影をふっとばされちゃあいけない
牛乳配達の車を気に掛けたりしちゃあならない
(規則正しい太陽の運行だとか、毎日毎日時間通りに配達される牛乳だとか)
そういったものごとに対して
真っ向から逆らおうとすることは
お前にとって
あまりにも自然なことなのだ

聞くが良い

これらの「誠実に非情」なるものどもよ!

おいおいおいおい、冗談言っちゃあいけないよぉ!
そこのクールでかっちょいいロッケンロォーな自殺者さんよぉ!

おまえさんは独りぼっちじゃあないよ!

おまえさんはどうも自分のことばっかり気に掛けているようだけど
そんなのアンフェアにもほどがあるってぇん
おまえさんの頭は完全にこんがらかってっけど
それでもあたしがおまえさんに気ぃ付いてほしいことがあるとすりゃあ
そりぁたった一つ

いいかい、耳の穴かっぽじってよぉく聞きな
もしかして、おまえさんは
お天道様の規則正しい運行や
毎日毎日時間通りに配達される牛乳とかになぞらえて
カタギ連中が偉そうに説きやがる
小賢しい商業道徳の欺瞞性には
心底我慢がならねぇなんて
そんな大それたこと考えてる奴ぁ
この世界中に自分ひとりだけだぁ
なんて思ってやしねえかい?

おいおいおい、そいつぁとんでもねぇ大間違いだ
そう思ってる奴ぁこのあたしを含めて世の中に山ほどいるぜ
冗談言っちゃいけねぇってんだ、おぅ
おまえさんはぜんぜん独りぼっちじゃあない


おまえさんがこれまで何だったか誰だったかなんてぇことたあ知らねぇよ
おまえさんががこれまでいつ何時何処にいたかなんてぇことも知らねぇよ
だけどおまえさんは今
この世にある刃物という刃物がどれも
てめぇの脳味噌を
ずったずたに切り裂いちまうよな気がするんだろ?そうだろ?
そんなこたぁこのあたしだってとうの昔に経験済みだぁね
あぁ、そうさ、あたしゃあこの痛みでもって
おまえさんの力になりてぇんだよ

おまえさん、独りぼっちじゃあないよ

どうだい、おまえさん
ひとつあたしと一緒にターン・オンして
いいコンコロモチになっちまおうじゃねぇか
そうすりゃぁ、おまえさんは独りぼっちじゃない
あたしと一緒に
いいコンコロモチになったまま生きて行こうじゃぁねぇか
そうすりゃ、おまえさん独りぼっちじゃない
さぁ、おまえさんの手ぇ

あたしに差し出しておくんなよ
なんでかって?
そりゃぁもう、おまえさんが
ほんっとにいい奴だからよ
さぁ、おまえさんの手ぇあたしに差し出してくんねぇか
なんでかってそりゃぁ
おまえさんがいい奴だからよ
さぁさぁさぁ
遠慮すんなって
さぁ
おまえさんの手ぇ
あたしに差し出しておくれよ

 

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ボウイ訳詞(創作訳)『Moonage Daydream』:お月様の時代の白昼夢「ワイは鰐や」

ワイは鰐や
ていうか
我は汝を迎えに来たカカ様・トト様じゃ

あるいは
おらぁスペース・インベーダーだ

そんでもって
ウチはあんたらのためのロックンロール・ビッチや


口閉じんかいコラ
ピンクのエテコ鳥(モンキー・バード)みたいに喚くなや
ええか、今ここで
ワイの脳味噌ぶわっと破裂させて
それを言葉にしたったるで
おめぇの電気の目ん玉ばオラに向けてけろ
おめぇの光線銃ばオラのドタマに当ててけろ
おめぇの宇宙服の面(ツラ)さオラの面(ツラ)にぴちっと押しつけてけろ

はぁ、もう、オラぁ、ぶっ飛んじまっただよ!
お月様の時代の白昼夢ん中でよ


姉ちゃん、ごまかさんといてや
ワイにはホンマのことゆうてや
人間が作った教会ゆうとこはえらい神聖な場所らしいけど
お前がホンマに気にかけとることを
ワイに教えてくれへんか
そいでワイを宙に浮かせてくれへんか


おめぇの電気の目ん玉ばオラに向けてけろ
おめぇの光線銃ばオラの頭に当ててけろ
おめぇの宇宙服の面さオラの面にぴちっと押しつけてけろ

はぁ、もう、オラぁ、ぶっ飛んじまっただよ!
お月様の時代の白昼夢ん中でよ

ぶっ飛んでる
確実にぶっ飛んだ状態で
入れたり
出したり

 

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ボウイ訳詞(創作訳)『Ziggy Stardust』:ジギィはギタァをひきました

これは「ジギィはギタァをひきました」という話


ジギィはギタァをひいたよ
ウィアァドやギリィそして
俺達「火星から来た蜘蛛」と一緒にね
ぐっとくるよなジャムを
みんなの前で披露したのさ

ジギィは左利きでね
ギタァがそりゃもう最高にうまかったんで
あっという間にスタァになったよ
それで俺らは
ジギィのバンドになったってワケ

ジギィは本当に歌ったよ
口パクじゃなくってね
不機嫌そうに目を細め
髪振り乱して歌うさまは
ありゃぁまるで
極東の島国からやって来た
サカリのついた1匹のキチガイ猫だったね

ジギィにとって
客を操ることなどお手のものさ
ニッコリ笑って常識外れのフレージングを繰り出して
客の度肝を抜いたかと思えば
いつまでたっても何にもひかずに
客を宙ぶらりんのまま放っておいたりもした
もうステージでは思うがままにやりたい放題よ

そのうち実入りが良くなると

ジギィはなんと驚いたことに
整形手術を受けやがったのさ
手術の結果
ジギィのアソコは
まるで馬みたいに!
そして
黒かった肌の色は
まるで白雪みたいになったのさ!


そのときが奴の人気もピークだったね
「ジギィは神だ!」とか言う奴らも現れたりしてな
あぁ俺たちゃ不満たらたらだったよ
注目されるのがいつもジギィだけなんでさ

おいおい「火星から来た蜘蛛」さん達はどこにいっちゃったんだぁ?
あのハエ男がお前らの金玉を握り潰そうとしてるってのによぉ?

かなんか仲間内からさんざん嫌味を言われちゃったりして
俺らはすっごく腹を立てていたね
馬鹿野郎!ジギィが「神」だって?
冗談だろ?
奴は我等を導きたまう
単なるビールのネオンライトさ

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どいつもこいつも馬鹿ばっかじゃねーの?
なんつって
俺らはジギィのファンをいつもこき下ろしてたけど
いっそあの時点で
ジギィの両手をぶっ潰したといた方が良かったのかもね


考えてみると
ジギィがプレイしたのは
ほんの短い間だったね
だけど奴と一緒にステージに上がったときだけは
奴が俺らにブードゥーの呪いをかけたからなのか
俺達にはまるで
奴のファンの餓鬼どもが
どうしようもなく粗野でお馬鹿なイナカモンに
そして
ジギィが
それらの衆愚を救うために
神によって遣わされた
生まれながらの「いいケツ」をした
ナザレ人(びと)に見えたもんさ


ジギィは誇大妄想狂気味で
ものごとすべてを極端に解釈するのが常だった
それでも奴がみんなから愛された理由はただひとつ
奴はギタァがひけたんだよ


ジギィは上りつめるのも早かったけど
落ちるのも早かったよ
ジギィはもともと自己愛の塊だったけど
自分自身の自我(エゴ)との性交を繰り返した挙げ句
ジギィは

自分のココロん中に吸い込まれて
あっと言う間に
消えていったのさ

メディアに登場しなくなると
奴はすぐに忘れられた
その時点でジギィはもう
自分がどこの誰かも分からなくなってて
家にも帰らず
風呂にも入らず
道ばたで寝っころがって
ギタァをひいてたよ
誰も聴きゃしないのにね
心ない餓鬼どもから
石をぶつけられたりしても
奴は黙ってギタァを弾きながら
時折
自分の書いたワケわかんねぇ詩を
えんえんと唱え続けてたよ

ありゃあ見た目には
まるでらい病に罹ったメシアだったね


ある時とうとう
イカレた餓鬼どもが
よってたかって
ジギィを
なぶり殺しにしちまった

それで俺らは仕方なく
バンドを解散した


これが「ジギィはギタァをひきました」という話


つまんなかったろ?

 

 

注:かつて旧ホームページに公開したものを一部編集して本ブログに公開する。

www.lepoche.com

 

 

【駄洒落】「じゃあ、マスター払いで」と言ったら「ジャー、マスターファーライ!」とBob MarleyのMCっぽく復唱した店員

店員:ご会計9800円になります。おしファライ方法はいかがなさいますか?

客:カードで支払います。

店員:ビザカードでおしファらいですか?それともマスターカードでおしファらいですか?

客:じゃあ、マスター払いで。

店員:かしこまりました。

ジャー、マスターファーライ!

(Jah Mastafari!)

 

youtu.be

ボウイ訳詞『Lady Grinning Soul』:歯を見せてニカーッと笑うもうひとつの魂の化身である高級娼婦が1973年時点でアメリカード(VISAカードの前身)を所有していたことに我々は驚かなければならない

彼女はやって来て

そして出ていくだろう

彼女はお前に

信仰を植え付けるだろう

 麝香オイルを塗りたくった

甘い肌

 彼女は

「歯を見せてニカーッと笑うもうひとつの魂」

が女の姿へと化身したものだ

 

彼女が身に付けるであろうものは

コロン以外に

シルバーのアクセサリー

そしてアメリカード(Americard、VISAカードの前身) 

彼女はフォルクスワーゲン・ビートルを乗り回し

クールなカナスタ(カードゲーム)で

お前をこてんぱんに負かすだろう

 

脱ぎ捨てられた服が

散らばっていようとも

その部屋を恐れてはならぬ

彼女の乳房の豊満さに手を触れ

彼女の愛撫に底知れぬ愛を感じよ

 

彼女はお前の「生の果て」となるだろう

 

彼女はやって来て

そして出ていくだろう

彼女はお前に

信仰を植え付けるだろう

 

だが彼女が自らの「生」をお前に賭すことはない

いかなる意味でも

「生」が彼女の「ものの見方」となることはない

 

脱ぎ捨てられた服が

散らばっていようとも

その部屋を恐れてはならぬ

彼女の乳房の豊満さに手を触れ

彼女の愛撫に底知れぬ愛を感じよ

 

彼女はお前の「生の果て」となるだろう

 

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  • 桑田佳祐の「不思議な恋は女の姿をして今夜あたり訪れるさ」という歌詞は、この曲からインスパイアされたものではないか。  
  • ボウイの歌詞はニーチェに影響されていると言われることもあったりするが、この曲の一節「Touch the fullness of her breast」などは実に親プラトン的だ。プラトン主義者なら、「<乳房の豊満さ>などはない。<豊満な乳房>だけがある。しかも<豊満さ>に手で触れることなど誰ができようか」とでも言いたいところ。
  • grin(ning)は「歯を見せて(ニカッ|ニコッ|ニコーッ|ニカーッ)と笑う」ことであり、明らかに「薄笑い」ではない。またこれは「ニヤニヤ笑い」とも違うのだが、『不思議の国のアリス』の日本語訳ではgrinを「ニヤニヤ笑い」と訳すのが定番になっているようだ。
  • ニヤニヤ笑う魂(grinning soul)というフレーズは、「無きニヤニヤ笑い(a grin without a cat)」および「身体無きニヤニヤ笑い(a grin without a body)」を連想させる。このsoulは音楽ジャンルとしてのソウルではなく、ユングの「アニマ」であるという説tanjastark.com/2015/06/22/cra)に一票。

 

 

 

 

 

Roxy Music訳詞『アヴァロン』:Out of nowhere(あらぬところから=どこからともなく=予期せぬところから=突然=不意に)がキーワード

パーティが終わり
疲労困憊していると
あらぬところから=どこからともなく(Out of nowhere)
君が現れる
一言の会話も交わさずに
身のこなしだけで
豊かな「こみゅにかしおん」が産まれる

 

あう゛ぁろん

 

サンバのリズムが
あらぬところから=突然(Out of nowhere)
君を連れ出すと
背景から焦点が外れ
背景は次第にぼやけていく
状況は刻一刻と変化し続け
しかも君は自分の「ですてぃなしおん」(行き先)を知らない

 

あう゛ぁろん

 

君がボサノバを踊り出すと
もう誰も君を止められない
どうか君の力で
僕を踊らせてくれないか
あらぬところから=不意に(Out of nowhere)

 

あう゛ぁろん

 

原詩:

genius.com

イーノ訳詞『第三の叔父さん』:そこには缶、豚肉、足、鮫、ジョン、母、火掻き棒、そして君がいた

そこには缶があり

豚肉があった

足があり

鮫があり

ジョンがいた

崖があり

母がいた

火掻き棒があり

そこに君がいた

そしてそこに君がいた

 

そこにはいくつものシーンがあり

ブルースがあり

ブーツがあり

シューズがあり

トルコ人がいる

奴らはロッカーの中にいる

奴らは学校の中にいる

そこに君がいた

そしてそこに君がいた

僕は僕の指を焼くだろう

僕のつま先を焼くだろう

僕の叔父さんを焼くだろう

彼の本を焼くだろう

彼の靴を焼くだろう

皮を煮て

それを僕に着せてみてくれ

それは僕に合う?それとも君に?

それは君にはきつそうだ

 

そこには缶があり

豚肉があった

足があり

鮫があり

ジョンがいた

崖があり

母がいた

火掻き棒があり

そこに君がいた

そしてそこに君がいた

 

そこにはいくつものシーンがあり

ブルースがあり

ブーツがあり

シューズがあり

トルコ人がいる

奴らはロッカーの中にいる

奴らは学校の中にいる

そこに君がいた

そしてそこに君がいた

 

原詩:

genius.com